農こそエナジー in 京都~生命を大事にする循環型社会をめざして

循環可能なエネルギーを生みだす有機農業シンポジウム

 

日時  :2011年11月5日(土)13時~17時

場所  :キャンパスプラザ京都 第一講義室(京都府京都市)

 

 

11月5日、JR京都駅近くの「キャンパスプラザ京都」にて13時から17時まで

有機農業シンポジウム・第6回農こそシリーズ「農こそエナジー in 京都」が開催されました。

これは農水省の事業の一環として、全国で有機農業をひろめるために行われたものです。

同シンポジウムでは18団体が主催団体となり、WCOからは4名がスタッフとして参加し、

WCO代表の中台がクロージングのスピーチをさせて頂きました。


当日はスタッフ・関係者ふくめて198名の参加がありました。

遠くは福島や東京、高知から来てくださった方もいて新しいつながりができるきっかけとなりました。

全体的な感想としては、とても深く濃い内容のシンポジウムで、

WCOとしても今後の展望も感じさせる素晴らしい機会となりました。

 

 

 

 

シンポジウムに参加して

 

今回、SNN事務局の方からのご紹介で「循環可能なエネルギーを生み出す有機農業シンポジウム」

にスタッフでの参加の機会を頂きました。私たちとしては関西の有機農業団体が

一同に会するという大きなイベントの参加は初めてでした。

とても内容の深い、貴重な学びをたくさん頂きました。

第一部は「有機農業は原発とどう向き合うか」をテーマに、3人の報告者からの講演です。

中でも福島で農業を営まれている菅野さんのお話は衝撃的でした。原発問題により大切に育てて来た

作物や家畜が廃棄され、何年も思いを込め作り上げて来た土が汚染されていく…。

そして、あたかも農家が悪いというようなイメージを持たせる理不尽な報道…。

自殺していく農家が後を絶たないとのことでした。 行き場の無い憤りがこみ上げてきます。

このような困難な中、菅野さんは福島の有機農業の復興に取り組まれているとの発表でした。

見えない恐怖に立ち向かう力強い姿に感動と尊敬の念で胸がいっぱいになりました。

二人目の発表者である槌田さんからは、有機農業の思想と原発のあり方の違いについての発表でした。

有機農業の思想は共生・循環であり、多種多様ないのちの共生によって成り立つ、最良で安定的な

エネルギーです。しかし、原発は原子の破壊によって巨大なエネルギーを取り出し、巨額を動かす

有機農業の思想とは全く対極にある技術なのです。

また、三人目の発表者である広島出身で被爆者2世の橋本さんは、福島の問題は今後何十年、

何百年と背負っていく問題だとし、日本からもう二度と被爆者を出したくないという想いで

「なぜ消費者は食べ物ばかりみて、生産者、人に関心を持たないのか」と自ら立ち上がって

変化を生む重要性を訴えて下さいました。

現代の私たちの生活は、莫大なエネルギーの消費によって成り立っています。生命か経済か、

私たち一人ひとりがその選択を迫られているように感じました。

第二部は「有機農業は次の時代をどう拓くか」をテーマに5人のパネラーによるセッションです。

人類史上初めて経験する地震、津波、原発事故、私たちはこの現実をどのように受け止め、

これから社会を形成する上で何を求め、次世代に何を伝えていくのか。

子どもの将来を考える福島の消費者は安全な物を求め、地元産ではない物を求めます。

また、他の地方の農家は被災した生産者を受け入れ土地を提供しようと勧めます。

しかし、福島の生産者は危険であるとは分かっていても長年に渡って育て、守って来た地元の農業

を復興したいという強い思いがあります。福島の生産者、消費者。関西の生産者、消費者。

それぞれの立場で意見が分かれ、活発な意見が飛び交う白熱したセッションでした。

第一部での発表にもあったように、有機農業の共生の思想に反して、原発のあり方は

原子の破壊によって成り立ちます。原発の破壊的エネルギーは

生産者、消費者、共生を求める私たちの心にまで影響を与えていると感じ、恐ろしくなりました。

このシンポジウムに参加して、いま、有機農業運動は大きな転換期に差し掛かっていると感じました。

これからの有機農業の鍵を握るのは次世代である青年だと思います。

原発の破壊的エネルギーに屈することなく、生産者や消費者、青年や長年活動してきた大人達、

皆が互いの立場、世代を超え、一丸となって全ての生命が豊かに暮らす、美しい世界を目指していく。

そのような精神的価値に基盤置いた活動こそ、永遠に栄える、

真の持続可能な社会を生み出す活動になると私は思います。

いまこそ、次世代を担う私たち青年が立ち上がり、大人の方々が培って来た農業文化を受け継ぎ、

更に発展させるべく、多くの方と共に手を携え邁進して参りたいと思います。

 

 

代表 中台浩貴